うみ
わたしのアラーム音は憂鬱な朝の音だけど、卓さんのは優しいピアノの音楽が流れる。
何か映画の曲だった気がするけど、はっきり目が覚めるころにはもう止まっていて、いつも聞きそびれる。
あの曲が流れると、起きたくない朝もなぜかほっとする。
今夜は風が強くて、換気扇が音を立てている。
勉強しながらのんびり眠気がくるのを待とう。
知らないこと
家中の窓を開けて、だらだらと家事を済ませて、ボサボサの髪もそのままで、ちょっとだけギターを弾いた。
飽きたら温泉に行って、帰ってきたらまた練習しよう。
君は知らない という曲がとても素敵で、宝物みたいな秘密もあるんだなぁと思った。
夜道とチョコレート
発表会が終わって一息ついて、先輩や同期と居酒屋に行った。
帰り道、同期とふたり、川沿いに集まるアヒルの鳴き声や通り過ぎる車にびくびくしながら夜道を歩いた。
近況を報告し合うとき、辛かったことも嬉しかったことも、どちらも話せてどちらも聴いて、自分のことのように悲しくなったり安心したりした。
あしたは小春日和らしいという天気予報を聞きながら、また話そうねと笑顔で別れた同期のことがもう懐かしい。
彼女がなるべく笑顔で過ごせますようにと強く思う。
砂
もうすぐやっと日付が変わる。
時間が経つのをじっと待ってる。
お父さんが届けてくれたぴかぴかの新米を食べた。
どうしようもない映画をみて、途方に暮れた。
眠るだけ
この間、夜中に洗面所の床で目が覚めた。
硬くて冷たくて、それでも眠気が勝った。
仕事で失敗して久しぶりに落ち込んだ。
誰にも話せなくて、あついサウナにでも入ってすっきりしようと決めた。