うみ


わたしのアラーム音は憂鬱な朝の音だけど、卓さんのは優しいピアノの音楽が流れる。

何か映画の曲だった気がするけど、はっきり目が覚めるころにはもう止まっていて、いつも聞きそびれる。

あの曲が流れると、起きたくない朝もなぜかほっとする。


今夜は風が強くて、換気扇が音を立てている。
勉強しながらのんびり眠気がくるのを待とう。

夜道とチョコレート


発表会が終わって一息ついて、先輩や同期と居酒屋に行った。



帰り道、同期とふたり、川沿いに集まるアヒルの鳴き声や通り過ぎる車にびくびくしながら夜道を歩いた。

近況を報告し合うとき、辛かったことも嬉しかったことも、どちらも話せてどちらも聴いて、自分のことのように悲しくなったり安心したりした。


あしたは小春日和らしいという天気予報を聞きながら、また話そうねと笑顔で別れた同期のことがもう懐かしい。
彼女がなるべく笑顔で過ごせますようにと強く思う。

秋雨


砂を噛むような毎日からちょっと楽になって、気が抜けたのか昨夜は早い時間からこんこんと眠った。



夕方から髪を切ってさっぱりして、喫茶店に入ったらお腹がすいていることに気がついた。

ハンバーグを黙々と食べていたら、斜め前に座っていた奥様ふたりが社交ダンスを踊り始めた。

デザートのヨーグルトまで平らげて、コツコツ響くヒールの音を聞きながら、うたた寝をしていた。

カチ


他のひとよりも、悲しんだり落ち込んだりする時間が、あきらかに長い気がしている。

時間がもったいないので、タイマーをかけることにした。


今夜は大好きなひとと、テニスコーツのライブを見に行く。
悲しい気持ちの残りと嬉しいのとで泣いてる。
タイマーの時間が少なくなっていく。

眠るだけ


この間、夜中に洗面所の床で目が覚めた。
硬くて冷たくて、それでも眠気が勝った。

仕事で失敗して久しぶりに落ち込んだ。
誰にも話せなくて、あついサウナにでも入ってすっきりしようと決めた。